世界各国・地域の経済において、中小企業は重要な役割を担っています。ほとんどの国で企業の99%以上が中小企業であり、日本では就業者の7割が中小企業で働いています。中小企業は雇用に貢献するだけでなく、競争とイノベーション、地域活性化の担い手として期待されています。中小企業は数が多いだけでなく実に多様であり、多くの場合、大企業と市場を棲み分け、また大企業を補完しつつ、地域経済に貢献しています。地域経済の活力と成長は、地域の中小企業に掛かっていると言っても過言ではありません。
一方で、中小企業はさまざまな制約と課題に直面しています。資金や人材、技術のような経営資源が少ないだけでなく、資本市場の不完全性のために、外部資金の調達にも制約があります。経営者の高齢化が進み、後継者問題を抱える企業も多く、事業承継が重要な課題になっています。また、日本では起業(創業)が長期にわたって低迷し、廃業が開業を上回る状態が続き、経済活力の低下が懸念されます。そのため、これまで、中小企業の不利を緩和し、起業(創業)を支援するさまざまな政策が行われてきました。中小企業の研究開発を支援し、成長と生産性向上を促す政策も重視されています。
これらの政策に効果があるのか、政策が適切に設計されているか、より良い政策はいかにあるべきか。このような政策評価研究は、これまでは企業データや政策データの制約により、十分に行われてきませんでした。本センターは経済産業省との共同研究の拠点として、中小企業を対象とするさまざまな実証研究、特に政策評価研究を進めていきます。